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アリゾナ・ニューメキシコの旅 12

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キャニオンロードのギャラリー廻りをしてみて、
いくつか気がついた事がある。
それは海外でいつも感じる事であったり、
あるいはここで初めて感じた事だったりするが、
少しだけ書いてみたいと思う。







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日本人であれば誰でも最初に感じると思うが、
ここで観る作品はとにかく表現が自由だ。
日本で芸術と言った場合ほとんどは”型”があり、
それから外れると未熟とか異端と言うが、
こちらではむしろ誰にも似ていない事が最も大切だ。
これは「芸術」と「アート」が同じ意味ではない事から来る誤解で、
例えばサッカーとラグビーのルールの違いとでも言えば良いか。

また値段の付け方にもとても感心した。
ここでたくさんの絵を観ておおよその相場が分かると、
ほとんどの絵は理解できる価格がついていた。
それはここが自分が楽しむための絵を買いに来る所だからだろう。
これは日本のように知名度や権威に値段を付け、
知名度や権威に安心して買うという習慣との違いかも知れない。
また同一作家で同程度の完成度であれば、
画材による差別をしない点もとても素晴らしいと思った。




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私はここで誰か地元のアーティストと交流し、
願わくば日本に帰ってからもつながっていたいと思っていたのだが、
有難い事にそれが実現した。
それはやはり願いを忘れた所に現れた。

彼は日本の芸術の仕組みを理解した上で、
サンタフェ、ニューヨーク、シカゴ、ロスアンゼルス、マイアミなど各都市の、
アート事情を比較しながら教えてくれた。
サンタフェのギャラリーは委託契約が多いそうで、
有能なアーティストはいつでも大歓迎だが、
その分競争も激しいそうだ。

日本では個展が重みを持たなくなって久しいが、
やる気のある人、
特に若い人は、
海外へ出るというのも1つの選択肢だろう。




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スボーツにはそれぞれルールがあり、
競技者はそのルールの中で競い合う。
そしてどのルールが上とか下と言う事はない。
それは芸術やアートでも同じだろう。

今回私は私の絵の印刷物を持参した。
若い頃に描いたもので、
初めて”手応え”を感じそしてその後の転機になった絵だ。
しかし日本では”型に合わない”という理由で、
何人もの人に批判を受けて来た。

しかしサンタフェのギャラリーやアーティストたちの反応は、
日本でのものとは全く違っていた。
もし今日本で悩んでいる若い人がいるなら、
違うルールの中でそれを相対化させるのが良いと思う。




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by farnorthernforest | 2014-12-08 18:58 | 旅の事

制作や旅や登山についてなど。


by 山下康一