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絵が肩を叩く

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私には特別な能力がある訳ではないが、
絵に関しては不思議な経験がいくつかある。
その一つが「絵に肩を叩かれる」と言うものだ。





最初の経験は、イタリア、フィレンツェ。
ピッティ宮殿にラファエロの有名な絵があるというので、
観に行った時の事だ。

美術館の入り口で、
7~8人の日本人女性グループとすれ違った。
「ラファエロの絵、見つからなかったわねー」
そう言いながら美術館を出て行った。
そんな事があるだろうか?
そう思いながら中に入って納得した。
膨大な数の絵が大きな部屋の床から天井まで掛けられ、
しかもそんな部屋がまたとんでもなくたくさんあるのだ。

部屋の中央にロープを張って通路が作られ、
見学者はそこから絵を観るのだが、
題名も作者名も遠くて見えない。
有名な絵の案内板らしき物も見当たらない。
パンフレットにも載っていない。

なるほどこれでは分からない。
そう思って次々と部屋を進んで行くと、
ある部屋でトントンと右の肩を叩かれた。
叩かれたその方向を見ると、
そこにラファエロの絵があったのだ。
見つけたラファエロの絵は、
他の絵に比べて思いの他小さかった。
更に驚いたのは、
周りを見ると、
その部屋には私しかいなかったのだ。
絵が肩を叩いてくれたとしか思えない。

絵で立とうと決心した時、
私は海外の美術館を見て回りたいと思った。
定職を辞し、リュック一つ背負って、
4ヶ月間ヨーロッパとアメリカの美術館を訪ねた。
毎日毎日朝から晩まで絵を見て回った。
目から血が出る程見続けた。
そんな中で絵に対する感覚が、
異常に研ぎ澄まされて行ったのだろうか。
同じ様な経験をその後何度もする事になる。














by farnorthernforest | 2012-08-08 11:47 | 絵の事について

絵と旅と日々の暮らしについて


by 山下康一