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はにかみ天使の思い出

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これはフランスのドイツ国境に近い、
アルザス地方を旅した時の事。



この辺りは過去に国境線が頻繁に入れ替わり、
言葉の響きはフランス語とドイツ語が混ざった感じだ。
事実ドイツ語もかなり通じると言う。
家の外観もドイツ風が多い。
有名なストラスブールは綴りを見れば完全にドイツ語。
ドイツ語読みすればシュトラスブルクだ。
シュバイツァー生誕の地もこの地方にある。
そのケゼルスベールは、
ドイツ語読みすればカイザースベルクになる。

この地方をスケッチした時は、
毎朝貸自転車を借りて、
ぶどう畑の道を町から町へ移動した。
そして偶然見つけたのがこのケゼルスベールだ。

古く落ち着いた小さな街で、
人々はとても親切だった。
城壁の見張り塔の尖塔の上に、
何やら巨大な鳥の巣がある。
あれは何かと尋ねると、
コウノトリの巣だそうだ。
地元の人達に大切に守られていると言う。

途中、ドイツ語読みで「カッツェンタール」と綴る町を通った。
フランス語読みで何と発音するのか分からないが、
「カッツ」は英語の「キャット」、
「タール」は谷を意味するから、
ここは「猫谷」と言う名の町になる。
猫が沢山いるのかと探してみたが、
残念ながら一匹も見あたらなかった。



旅も終わってパリに戻るため、
駅で切符を買おうとした時の事。
カウンターには若い女性がいて、
私を見るなり、

「まぁ、どうしましょう。私、英語が出来ないわ!」

と英語で呟いた。
目的地を告げ、
お金を払い、
切符を受け取って、

「ありがとう、さようなら」

とフランス語の単語を並べると、
心配そうに、

「私の英語、間違ってなかったですか?」

と聞いて来た。

「大変お上手でしたよ!」

と言うと、
とても恥ずかしそうに微笑んだ。
その姿が今でも心に残っている。














by farnorthernforest | 2012-08-10 01:46 | 旅の事について

現代風景画家 山下康一のブログ


by 山下康一