人気ブログランキング | 話題のタグを見る

画歴・絵について・他


ご覧戴きまして誠に有難うございます。

作品につきましてはこちらもご覧戴ければ幸いです。



山下康一 (やました こういち) 経歴と画歴 (2023年12月現在)

1965年    群馬県生まれ。

1979年(14歳) 一人で登山を始める。

1981年(16歳) 高校に入学。一人で谷川連峰や妙義山に通う。

1984年(19歳) 信州大学理学部に入学。一人で北アルプスに登り北海道を旅する。

1987年(22歳) 独学で絵画を始める。

1990年(25歳) 団体展やコンクールに出品を始める。

1992年(27歳) 個展で発表を始める。

1998年(33歳) 4ヶ月間ヨーロッパとアメリカの主要美術館を周る。以後2007年まで

       毎年1〜2ヶ月ヨーロッパとアメリカの美術館とギャラリーを周り、

       現地のアーティスト達と交流する。

1999年(34歳) 日本の美術館を周り、銀座の画廊を月に2回一年半周る。 団体展の出

       品を止める。

2010年(45歳) 上海博物館で宋代の水墨画を観てその世界観の表現に打たれる。そして

       かつて観たピカソの『ゲルニカ』を思い出し、モノクローム表現に

       可能性を感じ墨絵を始める。

2014年(49歳) 台湾を二度訪れ故宮博物院で宋代の水墨画を学ぶ。

2017年(52歳) 全ての公募展出品を止める。墨絵の図録を観たドイツのキュレーター

       から「世界的歴史的に例がない(globally historically no example)」

       と個展のオファーを受ける。

2018年(53歳) ドイツ・フランクフルト個展。北海道斜里町の北のアルプ美術館の館長・

       山崎猛氏より「絵の可能性はもう十分解っているつもりだったが、絵

       に対する考えが変わった」と企画展のオファーを受ける。

2019年(54歳) ドイツ・ダルムシュタット、北のアルプ美術館個展。アメリカより個展

       のオファーを受ける。

2020年(55歳) パンデミックのため日本・ドイツ・アメリカの全ての個展が中止になる。

2021年(56歳) X (旧Twitter) に投稿した作品画像のリポスト数が日本第14位 (2万1千

       回)、いいね!15万4千、閲覧数863万回となり、テレビ朝日・ABEMA

       ヒルズの『PicPoP』、フジテレビ・ノンストップの『コレきたワード』

       で全国に放送され、Yahoo! ニュース・楽天ニュース・Livedooe ニュー

       スなどのネット系ニュース20サイト以上で紹介される。

2022年(57歳) 京都宇治の黄檗山宝蔵院に奉納した墨絵の大作『不二』の奉納法要の様

       子がNHKワールドジャパンで世界に放送される。 THE JAPAN TIMES

       に特集記事が掲載される。

2023年(58歳) アメリカ・カルフォルニア州パサデナ、コロラド州クレストンで個展。




個展、または喫茶店や公共施設等での個人展示:98回

長野県 50回:安曇野市17、大町市15、長野市 8、松本市 6、小川村 2、池田町 1、

       松川村 1

北海道 17回:札幌市 7、美唄市 4、富良野市 2、中標津町 1、北広島市 1、斜里町 1、

       音威子府村 1

東京都 15回:銀座 7、池袋 5、飯田橋 3、

群馬県 9回:高崎市 9

京都府 2回:京都市 1、宇治市 1

アメリカ 3回:カルフォルニア州パサデナ 2、コロラド州クレストン 1

ドイツ 2回:フランクフルト 1、ダルムシュタット 1




展示会場詳細

1992年 高崎駅ビルギャラリー

1994年 一番街画廊(高崎市)

1995年 高崎郵便局、大和屋ギャラリー(高崎市)

1996年 高崎郵便局

1997年 ジンジャーマン(大町市)

1998年 ゆ~ぷる木崎湖(大町市/2回)、高崎郵便局

2000年 ギャラリーいーずら(大町市)

2001年 ギャラリーいーずら(大町市)

2002年 アートギャラリー穂高(安曇野市)、ギャラリーいーずら(大町市)

2003年 北時計(富良野市)、札幌市資料館、札幌時計台ギャラリー

2004年 北時計(富良野市)、アルテピアッツァ美唄ギャラリー(美唄市/2回)、

     熊谷守一美術館ギャラリー(池袋)、ギャラリー近江(銀座)、

     オリジナル画廊(札幌市)、ギャラリー像(飯田橋)

2005年 ジンジャーマン(大町市)、ル・コパン(松本市)、イオンホール(安曇野市)、

     熊谷守一美術館ギャラリー(池袋)

2006年 喫茶こまくさ(大町市)、ぎゃらりー創想の森(大町市)、ギャラリー近江(銀座)、

     熊谷守一美術館ギャラリー(池袋)

2007年 ギャラリーいーずら(大町市)、ぎゃらりー創想の森(大町市)、

     いーずら大町特産館、平安堂長野店、ギャラリー像(飯田橋)

2008年 ギャラリー宮川町(京都市)、ギャラリー近江(銀座)、高崎シティギャラリー

     アルテピアッツァ美唄ギャラリー(美唄市)、オリジナル画廊(札幌市)、

2009年 ゆいの家(高崎市)、熊谷守一美術館ギャラリー(池袋)、ギャラリー像(飯田橋)

2010年 アルテピアッツァ美唄ギャラリー(美唄市)、ギャラリー近江(銀座)

2011年 いーずら大町特産館、ジンジャーマン(大町市)

2012年 すずの音ホール(松川村)、アートカフェ清雅(安曇野市/4回)、

     くろよんロイヤルホテル(大町市)、イオンホール(安曇野市)、

     ギャラリー近江(銀座)

2013年 アートカフェ清雅(安曇野市/4回)、新さっぽろギャラリー(札幌市)、

     彩波画廊(銀座)

2014年 小川村郷土歴史館(2回)、アートカフェ清雅(安曇野市/2回)、

     黒い森美術館(北広島市)

2015年 砂澤ビッキ記念館ギャラリー(音威子府村)、ギャラリー粋ふよう(札幌市)、

     アートカフェ清雅(安曇野市)

2016年 かんてんぱぱ門前ギヤラリー(長野市)、ギャラリー鬼無里(長野市)

     彩波画廊(銀座)、イオンホール(安曇野市)

2017年 ギャラリー鬼無里(長野市)、井上百貨店(松本市)、カフェ&ギャラリー安曇野縁縁、

     松本市美術館多目的ホール、熊谷守一美術館ギャラリー(池袋)

2018年 ギャラリー鬼無里(長野市)、井上百貨店(松本市)、

     PRESENCE-kulturlounge (ドイツ・フランクフルト)

2019年 Lexus Form Darmstadt (ドイツ・ダルムシュタット)、高崎シティギャラリー、

     ギャラリー鬼無里(長野市)、ギャラリー粋ふよう(札幌市)、井上百貨店(松本市)、

     北のアルプ美術館(斜里町)

2021年 カフェ風のいろ、井上百貨店(松本市)

2022年 カフェ&ギャラリー安曇野縁縁、東一条ギャラリー(中標津町)、

     ギャラリー鬼無里(長野市)

2023年 井上百貨店(松本市)、黄檗山宝蔵院(宇治市)

     Shumei America Hall Gallery (アメリカ・カリフォルニア州パサデナ/2回)、

     Shumei International institute Gallery (アメリカ・コロラド州クレストン)


合同展示多数




個展風景と作品解説(外部サイト)



作品収蔵
北のアルプ美術館(北海道斜里町)
黄檗宗大本山萬福寺塔頭宝蔵院(京都府宇治市)



出版物・印刷物
1994年 科学論『神話と現象の森』(輪読会)
2007年 専門誌『東京消防』に2ページの特集記事
2012年 画集『水彩で描く美しい日本 Vol.3・輝ける中部』
     (日貿出版社)に作品3点掲載
2013年 月刊誌『一枚の繪』に4ページの特集記事。以後
     2017年まで作品掲載計10回
2015年 図録『2015北海道』(自主制作)
2017年 対談集『変わった道を歩みたいあなたに』
     (Kindle版、三澤洋史・角皆優人・山下康一共著)
     図録『山を描く』(自主制作)
     随筆集『絵と旅』(自主制作)
2019年 図録『山を描く・沈黙を描く』(自主制作)
     図録『Berge. Orte der Stille』(Marina Medina Art Consulting)
     図録『山を描く・沈黙を描く』(北のアルプ美術館)
     2020年カレンダー(有限会社いろは堂)
2020年 随筆集『今ここを旅する』(自主制作)
2022年 随筆集『Peaceful Moment』(自主制作)
     画文集『墨絵・水彩画・スケッチ作品集』(自主制作)
     2023年墨絵カレンダー(株式会社美須々開発)
2023年 図録『SILENT MOUNTAIN』(自主制作)





公式ホームページでも以下の印刷物を扱っています。

絵葉書(信州風景12、北海道風景10、日本とドイツのスケッチ10、墨絵16)
図録『山を描く・沈黙を描く』
図録『墨絵・水彩画・スケッチ作品集』
図録『SILENT MOUNTAIN』
随筆集1『絵と旅』
随筆集2『今ここを旅する』
随筆集3『Peaceful Moment』
随筆集ダイジェスト版『旅して、学んで、絵を描いて』

お問い合わせはこちらからお願い致します。




「山、沈黙の場」

       美術史家 マリーナ・メディーナ


人類の山での体験には驚くべきものがあります。

何故ならそれによって多くの文化や宗教で、

神あるいは神々は山に住むと信じられているからです。

つまり山は宗教と霊性に深く関係があるのです。


ギリシャ神話では、

神ゼウスはクレタ島のイディ山で生まれ育ったと信じられています。

そして後にオリンポス山をその家とし、

ギリシャの神となりました。

私達の文化でも、

山は歴史上欠く事の出来ない役割を演じています。

何故なら多くの重要な出来事が山で起きたと、

ユダヤ教やキリスト教やイスラム教、

つまりエイブラハム系宗教の聖典で語られているからです。


モーゼは神ヤハウェとシナイ山で何度も会いました。

そしてそこで十戒を授かりました。

それは神と人との間の掟として定められ、

人と人との関係の在り方にもなりました。

ノアの箱船は大洪水によって四十日四十夜流されてアララト山に漂着し、

そこから新しい人類の歴史が始まりました。

キリスト教徒達はイエスが信徒達に聖なる姿を現したタボル山を、

神の変容の地と位置付けています。

コーランによれば、

ムハンマドはヒラー山で神からのお告げを受けました。


東洋の伝統的な宗教によると、

山は神、あるいは神々や精霊達の座、

あるいはそれ等の現れる場であると信じられています。

カイラス山は水晶に似た左右対象の独特な形から、

チベット仏教、ヒンズー教、ジャイナ教、ボン教の聖なる山とされています。

そしてこの宗教的重要性と尊厳から、

この山は未だに登られる事なく残されています。

そしてその教えを信じる何千という巡礼者達が、

毎年このカイラス山の麓を回っています。

富士山、日本で最も高く、そして最も美しいこの山は、

神道において常に神の山として崇められています。

山麓や山腹にはおびただしい数の神社が建てられており、

様々な神々が祀られ祈りが捧げられています。


数多くのアーティストの中で、

山下康一のように山を霊性の場として表現し、

伝えている人は他にいません。

彼の作品は沈黙と静寂を周囲に放ち、

私達に全宇宙とのつながりを感じさせてくれます。

山下康一は日本の墨絵として知られる古い伝統的な絵画を専門としています。

日本では墨絵は禅仏教と密接に関係しています。

その本質は単純質素に還元する事であり、

極端なまでの完璧さを求めて注意が払われます。

元々この絵画技法は中国の禅僧によって用いられ、

後に日本での禅仏教の拡がりと共に、

それぞれの禅宗で集中的に用いられてきました。

そしてその本質還元の精神は、

日本の芸術に広く反映されています。


墨絵の技術を習得する為には、

途方も無い繊細さと気配りが必要になります。

何故なら墨絵は一筆一筆に失敗が許されないからです。

アーティスト山下康一のどの絵にも、

山の霊的背景が感じられるのは注目に値します。

そして彼の存在の特性が表れていて、

観る者に禅仏教の天地一体の感覚を完璧なまでに感じさせてくれます。


山下康一は禅仏教の本質である、

大いなる静謐の場としての自然を印象的に表現する、

偉大な墨絵マスターです。

この展覧会にお越しの皆様並びにこの画集をお読み下さった皆様が、

禅仏教の精神に触れて、

それを喜びと共に分かち合えます事を願っています。


Marina Medina Art Consulting 2019年 企画展

山下康一『Berge. Orte der Stille (山、沈黙の場) 』Lexus Forum Darmstadt,

図録『Berge. Orte der Stille (山、沈黙の場) 』解説文より




「極めれば迷わない、
  迷わなければ恐ろしくない」
       北のアルプ美術館館長 山崎猛

山下康一氏が描く水墨画の世界には、
不思議な力が秘められている。
人の心を動かす何かがある。
求めようとしている人だけに届く何かが…。
見ようと目を細めれば仄かに見え、
聞こうと耳を澄ませば微かに響き、
感じようと心穏やかにして時を待てば、
風に遊ぶ静謐な空間に包まれる…。

表現者であれば常に高みをめざして1から10へと登り詰めるが、
中には意を貫き0から1にと否定されつつも、
独創的な技法で歩み続けている表現者もいる。
その一人が山下康一氏だといえるであろう。

北のアルプ美術館 2019年 企画展 山下康一『山を描く・沈黙を描く 』
図録『山を描く・沈黙を描く 』より




「これまでの歩み」

                   山下康一


私は群馬県に生まれ、幼少の時から自然が好きで、

里山で岩や木に登ったり川で泳いだりして遊びました。

長じて谷川連峰や北アルプスに登る様になり、

山を描きたくて二十二歳の時に独学で絵を始めました。


最初は油絵を描きましたが、

数枚描いてすぐに水彩画に転向しました。

油絵の持つ物質的で堅牢な感じが、私の描きたい世界、

この世界に感じている無常感と無限感とは違っていたからです。

それから水彩画を描いて来ましたが、

絵を始めて二十三年が経った四十五歳からは、

墨でも描く様になりました。

水彩では表現しきれないものを感じていたからです。


水彩画では薄い透明な色層を重ねて無常感を描こうとしました。

仏教の五蘊仮和合をイメージしていたのです。

しかし無限感は摑み切れずにいました。

そして水彩に限界を感じ墨で描く様になったのですが、

墨は水彩と同じ様に描いては絵にならない事が解りました。

様々に試行錯誤する中で、次々と発見がありました。

山は実在から象徴に変わり、

ぼかしの多用は絵の中に自然現象を呼び込み、

雪や雲や霧などの塗り残して描かない部分は、

描かない故の大きな意味を持つ様になりました。

人生は生きない事で本当に生きられるからです。

そして黒く塗り潰した背景に、

私は言葉や思考や或いは現実と呼ばれるこの世界の、

移ろい行く全てのものが生まれては帰る場所、

時間を超越した沈黙と静寂を見たのです。

それは無常と無限の在り様を体験した瞬間でもありました。


今の私にとって大切なのは、

絵を描く事よりもまずこの沈黙と静寂につながる事です。

絵はそこから生まれます。

墨で描く様になってからは、

私は絵の中に自分自身を認めなくなりました。

私は絵を描くのではなく、

絵が出来る場の目撃者だからです。

私はただ観る人を映す鏡の様な絵を描ければ良いと思っています。

絵の中に自分が無くなれば無くなる程、

鏡は澄んで観る人をそのままに映します。


2017年 図録『山を描く』挨拶文

2018年 Kulturlounge PRESENCE Frankfurt am Main 個展挨拶文





「山と沈黙について」

                 山下康一


私の墨絵のモチーフの多くは山ですが、

そのコンセプトは沈黙の表現にあります。

ここで言う沈黙は言葉と言葉の間ではなく、

言葉の背後に常に在って、言葉が生まれて還る所、

言葉を意味付け実在たらしめているものの事です。

そして私はこの現実も私たち自身も、

同じようにこの沈黙によって意味付けられ、

実在付けられていると感じています。


世界の多くの宗教は山と深く関わりがあり、

そこでの沈黙は大変重要な意味を持ちます。

山と神聖、精神性と沈黙には大きな関係があるからです。

この山と沈黙をどう表現するか。

私は紙と墨を使い、山を塗り残して描きます。

漆黒の背景に浮かんだ山々は、近付いて見れば紙の地です。

この描かないで描き見ていて見えない虚と実の交錯の中に、

私は世界の様々な宗教や最先端の科学が説くこの現実の在り方、

例えば聖書やリグ・ヴェーダの「初めの時」や

仏教の「色即是空、空即是色」、

あるいは量子力学が提示する宇宙モデルを見ています。


近代以降人は神の束縛から解放され、

以来欲望は公に正当化されてきました。

そして人は自然や様々な学問、

そして理性でさえも欲望の実現に利用し、

その結果はご承知の通り、

地球環境の破壊と心の荒廃を招きました。

それは別の見方をすると、

人は言葉から言葉を作り出して沈黙とのつながりを失い、

喧騒の中に迷子になったとも言えると思います。

言葉(思考)の世界は相対的価値の世界です。

常に他と比較して止まず、

そのままではどこまでも喧騒(欲望と争い)の中に拡散してしまいます。


芸術の持つ役割の一つは、

そのコンセプトによって時代を反映または先取りし、

新しいパラダイムを提示する事だと思います。

これからの時代、

健全な地球と心の回復が今まで以上に重要になると思います。

そのためにはただ喧騒の中で消費される言葉ではなく、

沈黙と深くつながった言葉が必要だと考えます。

それは絵画も同じです。


2017年私の絵とコンセプトをドイツの美術史家が認めて下さり、

2018年から彼の地で個展をするようになりました。

そして此の度は山を思索の場とした

雑誌アルプの精神と真心を伝える北のアルプ美術館で、

私の絵を展示して下さる事になりました。

私の絵にとって最高のステージと、

望外の喜びを感じています。


2019年 北のアルプ美術館企画展図録『山を描く・沈黙を描く 』挨拶




お問い合わせ等はホームページからお願い致します。



















by farnorthernforest | 2012-04-18 04:18 | 画歴/ARTIST STATEMENT

制作や旅や登山についてなど。


by 山下康一