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美の発見

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美は外にではなく内に在る。




子供の頃教科書で芭蕉の句、
”古池や蛙飛びこむ水の音”を知った時、
一体それがどうしたという気持しか湧かなかった。
言葉通りにしか理解出来なかったからだ。

古池も蛙も水の音も全てただの言葉である。
言葉は月を指差す指の様なもので、
月は指の向こうに在る。
それは絵も同じだ。



絵は観られる事で完成する。
それは絵がそれだけで美なのではなく、
あなたに見られる事で美を表す。
絵はあなたの中にある美を指差す。

遠い旅先で美しい風景に出会っても、
美は彼の地にあるのではない。
素晴らしい風景に心が動いた時、
あなたはあなたの中の美に触れる。

花はそれ自体で美しいのではなく、
あなたの中の美によって初めて美しく輝く。
そしてあなたは花によってあなたの中の美を知る。
美を知る事は自分を知る事だ。



美は愛であり絶対肯定と言う事も出来る。
全てを無条件で受け入れる、
あなたとあなたの人生に起る全てに対する無条件降伏が美の姿だ。
花が空が雲が今この瞬間にもそれを語っている。

心に悩みや葛藤が有れば美はその程度に応じて縮小する。
作者も、作品も、観者も。
しかしこの三者が今の一瞬に溶け合う時、
心の夾雑物は消え去り美の一点に貫かれる。



美は叡智であり喜びである。
誰もがその環境を良きものに出来る。
誰もがその環境の良きものになれる。
それが生きる喜びだと思う。

美は外にではなく内に在る。
そしてそれは全ての人々、
この自然この宇宙全てとつながっている。
だから美は理解し合える。

美は命のつながりである。
同じ命につながるのなら、
比べるのは止めよう争うのは止めよう。
それがこれからの旅の道標になるだろう。














by farnorthernforest | 2015-10-06 22:59 | 絵について

制作や旅や登山についてなど。


by 山下康一