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巨匠の作品を観る




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日本の巨匠の水墨画を集めた企画展に行って来ました。
初めて実画を観た巨匠の作品や、
画集でしか観た事のない有名作品を多数観る事が出来ました。
最近は日本では美術館に行かなくなりましたが、
来年春にアメリカの個展を控え、
母の介護の隙間を縫って、
久し振りに有意義な時間を過ごせました。

近・現代を代表する、
歴史に残る巨匠たちの傑作を観て来た訳ですが、
本当に観ていたのは自分の絵です。
20年前にヨーロッパとアメリカの主要美術館を周り、
世界の傑作を4カ月掛けて観て来た時に、
最後に私の頭に雷の様に落ちて来たのは、
「自分の描く絵はどの美術館にも無い」
という事でした。

「そんな事は当たり前だ!」と仰るかも知れません。
「気でも狂ったか?」と疑うかも知れませんね。
しかしその当たり前の中に真実があります。
誰でも誰の絵でもみな唯一無二なのです。

そこに腹が決まるまでは長い道のりです。
しかしそこに腹が決まれば怖いものはありません。
誰が何を言おうと自分の絵を描くだけです。
恐れも不安も心がスクリーンに映し出す喧騒です。
あるのはただ静寂だけです。

例えば砂漠を横断する旅人が、
夜には常に北極星で方角を確認する様に、
私は先人たちの言葉を繰り返して、
静寂の在る場所を見つめます。

先人たちの言葉はその方向を示してくれますが、
言葉それ自体は静寂の場ではありません。
そこを間違えると砂漠を彷徨う事になります。
人生にはGPSもナビもありません。



















by farnorthernforest | 2019-12-19 13:55 | 絵の事について

制作や旅や登山についてなど。


by 山下康一