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ご感想を戴きました




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美術評論活動をされている服部洋介様より、
ご感想を戴きましたのでご紹介させて戴きます。



この山下氏という人は、
山が好きなあまりに松本市に本部を置く信州大学に進学され、
以後、本県の人となったのであるけど、
在学中、理学部に籍を置きながら、
ひとり「哲学科」の渾名を奉られるほど思索を好まれる方であったから、
絵描きでありながら、ずいぶん多くの筆記を残されている。
それを邪道という人もあるけれど、
私は一寸ちがう。
この歳になってみると、
単に感覚的なものに訴えるだけの作品よりは、
どちらかと言うと、ある実践的な認識論としての芸術行為、
すなわち「世界をどのように見るか」という、
その捉え方を提起するものとしての芸術作品に興味を惹かれるもので、
ちょうど山下氏の作品は、
人類における芸術行為の機能を一通り網羅したようなところがあって、
じつに興味深いものであったから、
氏の作品のどのような面が、芸術史のどの段階と結びつくものか、
それを論考するのはたいそう楽しいことであった。



2019年、私がドイツの個展でフランクフルトに滞在中に、
服部様よりメールで『山下氏の絵画と思想』という、
長大な論文の原稿が送られて来ました。
それは古今東西の芸術家の作品と哲学者の思想を引用して、
私の作品を歴史の中に立体的に位置付ける、
私にとっても驚愕の論文でした。

ドイツ滞在中この論文を何度も熟読し、
また連日のドイツの美術史家との遣り取りや、
個展会場でのドイツの方々との会話の中から、
私は自分の絵画表現と世界の美術史の中での位置付けを、
如実に知る事が出来ました。

2017年最初にドイツの美術史家にお会いした時、
「あなたの絵とコンセプトは世界的歴史的に例がない」と言われ、
その時は大変驚いたものでしたが、
冷静に考えるにつれ実感するようになり、
綿密な調査と論考は必要でしょうが、
今はおおよそその通りだと思っています。
それは服部様の論文に拠る所が大きいと思います。
(この論文は今回も個展会場に置いてあります)

しかしこれは世界の美術界と美術史の中での話で、
日本では例えば12年続けた銀座での個展の経験、
有名な評論家先生や有名画廊の画商さん、
有名絵画団体の理事さん会員さん達との会話から、
絵の描き方の決まりを守らない異端者、
邪道・外道という位置付けですから、
日本には私の位置はありません。

例外は二科会理事長の田中良先生からお電話でご感想を戴いたり、
世界的にご活躍の異分野の方々に大変高く評価して戴いた事です。
日本の美術界は流通業界やメディア関係者と共に、
極めて閉鎖的な利益関係を構築していますから、
そのルールに従わない者を受け入れない仕組みになっています。



服部様の仰る「人類における芸術行為の機能を一通り網羅した」は、
私が絵を一生の仕事にすると決め先ず海外に出て、
旧西ヨーロッパとアメリカの美術館を200ヶ所以上回って学んだ経験から、
自然に醸し出されたものだろうと思います。
過去の表現を踏まえていなければその先を行く事は出来ません。
「個体発生は系統発生を繰り返す」と言う、
生物学の古典的定理を思い出します。

今はコロナで海外の個展は出来ませんが、
この動けない期間をチャンスと考え、
作品を蓄え思索を深め、
コロナ開けには海外で思い切り活動したいと思います。
なぜ「世界的歴史的に例がない」と言われたのか、
その真価を試したいと思います。



















by farnorthernforest | 2021-05-08 00:27 | 絵の事について

制作や旅や登山についてなど。


by 山下康一