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海外個展物語2




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(写真はドイツ南部のローテンブルクで。
この人との出会いは『雨宿り』をご覧下さい)



ドイツの懐かしい場所を周り、
懐かしい人達に再開しました。
そうして旅を続けて帰国3日前、
フランクフルトの友人からメールが届きました。

彼「お前と話したいと言う人がいるが、今長野か?」
私「いや、ちょうどドイツに来ている」
彼「フランクフルトの来れないか」
私「3日後にフランクフルト空港から帰国する」
彼「明日の夜会えるようにするから来てくれ」





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(写真左からフランクフルト在住の友人、美術史家、私)



ドイツに発つ直前に、
私は絵を一時止める記念にと、
今まで描いた墨絵の図録を作り、
日本の知人友人に配ってありました。
(ご興味があればこちらをご覧下さい)
それが写真のフランクフルト在住の友人に渡り、
彼の知人の美術史家の目に留まったのです。

彼女の専門は宗教絵画。
世界の宗教絵画を研究していて、
ドイツでは著作もあります。
神道や仏教も学んでいて、
日本には何度も来ています。
滝行や坐禅の経験もあるそうです。

会話は世界の宗教と絵画の話題で盛り上がりました。
私は当時日本語と英語併記の聖書を読んでいたので、
気になって暗記していた英文を引用して、
仏教と合わせて色々と意見を伝えました。
そして、

彼女「ドイツで個展をしませんか?」
私「!?」
彼女「今まで何回海外で個展をしましたか?」
私「まだ一度もした事がありません」
彼女「あなたの最初の海外個展をお手伝い出来て光栄です」
彼女「あなたの絵とコンセプトは世界的歴史的に例がありません」
(Your art and concept are globally historically no example)
彼女「必ず世界で活躍する様になります」
(You must be a world player)





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(帰国前夜、Japanese Culture Club Frankfurtで)



フランクフルトの友人は後でこう教えてくれました。
墨絵の図録が日本語英語併記だった事と、
彼女と直接自分の言葉で話した事が、
彼女を安心させ個展のオファーにつながった。
もし通訳を介していたら、
上手く行かなかったかも知れないと。

こう書くと、
いかにも英語が出来る様に聞こえるかも知れませんが、
英語は今でも片言です。
しかし片言でも伝える努力をする事が大事だと、
私は割り切って話しています。
海外では言葉が通じないのは当たり前なので、
皆日本人ほど気にしてはいません。
むしろもっと大切なのは伝える内容です。

初めて海外に出てからは、
時給の良い肉体労働をしてお金を貯め、
毎年海外の美術館やギャラリーを廻っていました。
そして図々しくも時々自分の絵を売り込んだりもしました。
ニューヨーク、ワシントンDC、サンタフェ、フランクフルト、
もちろん全て門前払いでしたが、
会話する事自体がスリリングで勉強になりました。
そんな経験も生きたのかも知れません。

個展のオファーを戴いて、
私は道元禅師の言葉を思い出していました。
「放てば手に満てり」
一度は絵を諦め手放した事で、
新しい道を掴めた様にも思います。

(次回は個展開催までの道のりについてです)



















by farnorthernforest | 2021-05-11 22:16 | 絵の事について

制作や旅や登山についてなど。


by 山下康一