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海外個展物語3




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(長野市鬼無里の個展会場で)



さて、個展のオファーは戴きましたが、
まだ図録のみで実際の作品を見て戴いておりませんので、
お互い不安は残ります。

そこで翌年の2018年5月、
私の長野市鬼無里で開催した個展に、
はるばるドイツから来て下さいました。

朝6時20分、
京都からの夜行バスが松本バスターミナルに到着しました。
そこで写真のお二人をお迎えして、
自宅で少し休んで戴いてから、
車で1時間半の個展会場までお連れしました。

かなりの強行軍で大変お疲れのご様子でしたが、
会場で3時間程作品の前で話をして、
そして長野駅から新幹線で東京に向かわれました。



個展会場に最初に入られた時、
お二人がそれぞれ互いに einzigartig
(アインツィッヒアーティッヒ) と言葉を交わされていました。

einzigartig はドイツ語で唯一無二という意味ですが、
これは日本でもよく使う言葉ですので、
私は余り大げさに考えてはいませんでした。

しかし後日ある方にお会いしてこの言葉の意味を知り驚きました。
高校の大先輩で、
現在新国立劇場の首席合唱指揮者をされている三澤洋史さんです。

三澤さんは日本人初のベルリン芸術大学指揮科首席卒業で、
ドイツ語や英語は勿論、イタリア語フランス語など、
クラッシック音楽で必要とされる言語に堪能でいらっしゃいます。

「これはとても特別な言葉で滅多な事では使わない。
例えば80年代の絶頂期のカラヤンと、
彼に鍛え上げられたベルリン・フィルの最強の組み合わせの様な、
もう他には絶対にありえないような時に使うんだよ」

私はこの時初めて事の重大さに気付きました。
今まで私の絵に対して言って戴いていた事は、
半分はリップサービスくらいにしか考えていなかったのです。

実際の作品には透明感と空気感があり、
不思議な(幽玄な)雰囲気があります。
それは印刷やネット画像には決して再現されません。

実物を直接観て戴いて、
自分は本当に世界に作品を問うのだと、
改めて身が引き締まる思いがしました。





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それからドイツに向けて作品作りが始まりました。
個展はその年の12月で会場はフランクフルト市内
フランクフルト動物園近くの大通り沿いです。

問題はどうやって絵を運ぶかでした。
私がまだ三十代半ばだった頃、
ある絵描きさんがフランスで個展をする事になり、
私はそのお手伝いをした事がありました。

その時は10号程度(50cmくらい)の作品に額を付けて、
作品数は全部で20数点でしたが、
その航空輸送料が100万円と聞きビックリしました。

ただこの方の場合には、
知り合いにテレビ局のディレクターさんがいて、
ドキュメンタリー番組を作る事になったのです。
たくさんのスポンサーがついたので、
輸送代も飛行機代も自己負担はありませんでした。

しかし私の場合はそういう訳には行きません。
色々と考えた末、
絵は丸めて紙筒に入れて運び、
現地でパネルを作って張り直す事にしました。

大きいものは130cm幅の作品3点、
117cm1点と100cm2点、
その他50〜70cm程度の作品を中心に、
墨絵21点と水彩画12点、
それにスケッチ32枚を合わせて、
全65点をドイツに持ち込む事にしました。

絵は厳重に梱包して預入荷物としてチェックイン。
2018年12月3日ドイツに向かい飛び立ちました。
(リアルタイムの投稿はこちらをご覧下さい)





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by farnorthernforest | 2021-05-12 21:44 | 絵の事について

制作や旅や登山についてなど。


by 山下康一