人気ブログランキング | 話題のタグを見る

穏やかな充足感




穏やかな充足感_e0273524_21305824.jpeg






今日の個展会場の写真です。
昨日は雨でとても寒かったのですが、
今日は雨も上がって少し暖かくなり、
紅葉は一段進んでいました。

こういう事をここに書くのは久し振りです。
個展会場で本を読もうと、
数年振りに岩波文庫版『臨済録』持って行き、
会場で読み始めました。

この本は二十代半ばに買って何度も読み、
特に三十代の海外美術館行脚には小さくて軽いので、
同じく岩波文庫版『正法眼蔵随聞記』と一緒によく持って行きました。
この本を手に取ると、
ヨーロッパやアメリカの街並みが自然に思い浮かびます。

最初から読み始めたのですが、
最初の辺りは特に有名な言葉がある訳でもなく、
当たり前の事しか書いてないので、
以前はただ読み流すだけでした。

しかし今回読み始めて心底驚きました。
入谷義高氏の訳をそのまま引用します。



・・・
次に座主が問うた、
「三乗教や十二分教など仏の教えの一切は、
すべて仏性を解き明かすものではありませんか。」
師「そのような道具では無明の荒草は鋤き返されはせぬ。」
座主「しかし仏がまさか人をだますようなことはなさるまい。」
師「その仏は一体どこにいる!」
座主は無言。
師「お前は常侍殿の前でこのわしをあざむこうとするのか。
退れ、退れ!ほかの者の質問の妨げになる。」
続けて言った。
「今日の集まりは仏法の根本義を究明するためである。
質問のある者はもういないか。いればさっさと出て来い。
ただお前たちが口を開いたとたんに、もうそれとは無縁だ。
なぜかといえば、釈尊も『仏法は文字を離れている。
因にも属さず縁にも依存しない』と言われているではないか。
お前たち自身の信念不足のために、
こうして無用な議論に落ちこむのだ。
こんなことでは常侍殿や諸役人に累を及ぼして、
仏性を一層わからなくさせるばかりではないか。
わしもここらで引き下がった方がよかろう。」
そこで一喝して言った、
「信念の欠けた者はいつまでたっても埒のあく日はない。
立ち通しご苦労だった。」



有名な言葉など読まなくても、
もうここに全てが語られています。
この文だけで私は満足して本を閉じました。
そして穏やかな充足感を楽しみました。



















by farnorthernforest | 2022-10-08 22:21 | 日々の事について