「最大の敵は自分」
2023年 08月 15日
スペインのサグラダファミリアの建築に45年携わり、
現在は制作監督をされている、
外尾悦郎さんのインタビューを『NHKアカデミア』で見ました。
色々と共感出来る言葉がありました。
私がサグラダファミリアを訪ねたのは1998年、
もう25年も前になります。
当時は入口付近のファサードの一部と、
有機的な彫刻で有名な四つの塔しかありませんでした。
番組で紹介されていたサグラダファミリアは、
私が見たものからしたらもう完成に近い様に思われ、
とても驚きました。
当時からここで一人だけ日本人が働いていると聞いていました。
それが外尾悦郎さんだったのです。
「芸術は科学と同じ」
外尾さんは芸術は科学と同じ、
真理を求める一つの道だと言います。
かつて中川一政はこう言いました。
「芸術家、学者、宗教家、真の見る事の出来る人間は、
一人で三者を具備し、そして高き調べをなしている」と。
芸術、学問、宗教、
どれも真理に至る道です。
それは高い山に別々の道から登る様なものです。
最初はこの三つの道はお互い交流が出来ないかも知れません。
しかし頂上に近づくに従い隣の道も見えてきて、
声を掛け合える様になるでしょう。
「最大の敵は自分」
「敵はたくさんいる。
しかし最大の敵は自分しかいない」
「いじめはしょっちゅうあった。
試練はいつでも突然来る。
しかしそれに即座に応えなければならない」
私にも経験がありますが、
以前は東洋人に対する西洋人の偏見はとても露骨でした。
しかし最大の敵はそれに負けてしまう自分だと、
ご自身を鼓舞して来たのでしょう。
能力は環境によって決まります。
価値も環境によって決まります。
環境が変わればそれらも変わります。
しかし環境に影響されない、
変わらないものを掴まなければなりません。
最後は自分との戦いになります。
「真のボスは希望を与える」
ガウディは職人に多くの給料は払えなかったそうです。
それは教会の建築費が全て寄付で賄われていて、
資金の集まらない時には建築は中断されていたそうです。
それなのに100年後の今も人を惹きつけて止まないのは、
希望という本当の給料を払っているからだと言います。
今でも建築費は寄付と観光収入で賄われています。
しかし職人達はガウディの理想に従い、
自信を持ってその仕事に邁進出来る。
真のボスは喜びと安心と希望を与える。
部下が自信を持って歩ける道を準備する人だと言います。
「完成はまやかし」
「完成より大切なものがある」
「この世に完成したものなどない」
「仕事の上でお金をもらうために、
一応完成と言う線引きをするが、
人間のする事に完成はない。
それは自然の中に完成がないのと同じ」
老子の大器晩成が大器免成の写し間違いだったと、
このブログに既に二度書きました。
大器免成は大器には完成と言う概念がないという意味です。
完成するとかしないとかは時間軸上の概念です。
しかしあるのは常に変化し続ける今だけであり、
今のどの一瞬も過不足なく円満です。
完成などどこにもありません。
by farnorthernforest
| 2023-08-15 00:01
| 日々の事について